<陸山会土地購入>強制捜査に発展 世論読めず、戦々恐々(毎日新聞)

 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件が強制捜査に発展したことで、政府・民主党は18日に召集される通常国会への火の粉を振り払うのに必死だ。東京地検は土地購入に充てられた小沢氏の手持ち資金4億円の出所解明に乗り出す構えだが、同党は捜査の狙いや世論の動向を読み切れておらず、今後の展開に戦々恐々としている。

 波乱含みの通常国会に新たな不確定要素が加わった。14日の参院与野党国対委員長会談。自民、共産両党は小沢氏や元秘書の石川知裕衆院議員の事務所などの家宅捜索を受け、「政治とカネの問題を議論すべきではないか」と、国会での徹底審議を求めた。

 民主党の平田健二参院国対委員長は「いつかやらないとならないこともあるだろう」とかわしたが、鳩山由紀夫首相の偽装献金事件も抱える政府・与党にとり、「政治とカネ」は、直後に参院選を控える通常国会最大の懸案になりつつある。

 政府・与党は、通常国会に09年度2次補正と10年度の予算案を抱える。小沢氏の政治資金問題について、与党内では「国会開会前の決着」との見方が強かっただけに、想定外の強制捜査には戸惑いを隠せない。事件の行方次第では今月下旬からの予算審議を直撃しかねず、「もう終わりだと思っていたのに心配だ」(国民新党幹部)とのため息も漏れる。

 民主党は野党側が小沢氏の証人喚問などを求めてきても拒否する構えだ。同党系の勢力は衆院で300を超える。参院でも与党3党で過半数を確保しており、民主党の山岡賢次国対委員長は「国会を『ワイドショー化』したくない」と野党の出方をけん制している。

 それでも、民意の動向には民主党も神経をとがらせている。昨年12月の毎日新聞世論調査で内閣支持率は55%と、前月比で9ポイント減った。強引な国会運営に踏み切れば、下落に拍車がかかりかねない。小沢氏は守れても、政権自体が地盤沈下するジレンマを抱える。

 小沢氏側への強制捜査について、首相官邸では「当時は職務権限がなく、小沢さんまで捜査は及ばない」(首相周辺)との楽観論もある。しかし、小沢氏の問題は鳩山首相の偽装献金と「相乗効果」を生みかねず、世論がどう受け止めるかを測りかねている。【高山祐】

 ◇小沢氏頼み、沈黙民主

 党幹事長側への強制捜査という異例の事態にもかかわらず、政府・民主党内では表立った反応はない。鳩山首相(党代表)は14日、小沢幹事長を交代させる可能性を否定した。捜査の行方に気をもみながらも「沈黙」が広がる党内の様相は、党運営が小沢氏頼みに陥っていることを物語っている。

 「オレが言わねえんだったら、誰も言わねえだろう」

 民主党の渡部恒三元衆院副議長は14日、講演先の金沢市で、記者団から「党内で小沢氏の責任を問う声はないのか」と問われ、思わず苦笑した。小沢氏の説明には「あれで分かったって思っている人はいねえ」と漏らしたが、追随する声はほとんど聞こえてこない。

 07年参院選の勝利や09年衆院選で、党内では「選挙に強い小沢」の評価が確立した。新人議員は「親に向かって『おかしい』なんて言えるわけがない」。また元検事の小川敏夫参院議員は14日夜、BS11のインサイドアウトに出演し「検察が強制捜査に入るときはガチガチに固めるものだが、そういう雰囲気が感じられず、ちょっと異例かなという気はする」と後輩らの捜査に異を唱えた。

 こうした民主党の空気を、自民党の谷垣禎一総裁は14日の記者会見で「『物言えば唇寒し』という心境ではないか」と皮肉り、共産党の志位和夫委員長も「誰一人ものを言わないというのは異常に思える」と批判した。

 しかし、「小沢頼み」は連立を組む社民党にも広がっている。14日の地方代表を交えた会合では、「政治とカネの問題を追及すべきだ」との意見が出たものの、重野安正幹事長は「小沢氏を中心とする民主党の安定が必要な現実もある」と歯切れが悪かった。

 鳩山首相は14日夜、記者団から小沢氏の評価を問われ「二度と出てこないような個性、大変強い信念をお持ちの政治家だ」と称した。その上で「これからも(力を)発揮してもらいたい」と語った。【近藤大介、白戸圭一】

 ◇聴取拒否、捜索の引き金に

 「石川氏の説明は合理的でない。小沢氏は説明しようとしない」。一斉捜索に踏み切った理由について法務・検察幹部はそう語る。

 特捜部は政治的影響に配慮し、12月の臨時国会閉会を待って捜査を本格化させ、通常国会が今月18日開会と決まると、週内の刑事処分を目指した。「捜査は任意が原則。協力してくれれば強制捜査は不要だ」。別の幹部はそう繰り返してきた。

 石川氏は事情聴取に「04年10月小沢氏から4億円を受け取り東京都世田谷区の土地を約3億4000万円で買った」と答え、4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったと認めたが、「ミスだった」と強調した。

 しかし、4億円を陸山会に集約した後、土地代金を支払うなどの複雑な資金移動について特捜部は「(小沢氏からの)最初の4億円を隠す意図がある。4億円の素性を隠し不動産として表に出す資金洗浄(マネーロンダリング)ではないか」とみている模様だ。石川氏はこれを否定しているとみられる。

 5日に行った聴取要請に小沢氏が応じないことも大きく影響した。石川氏が「小沢氏から4億円を受け取った」と説明する以上、小沢氏に確かめざるを得ない。だが、比較的時間に余裕のあった連休(9〜11日)中も応じず事実上拒否と受け取ったという。【小林直、三木幸治】

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